猫の毛を撫でるとどんどん毛が抜けてくるんだけど、大丈夫かしら?
試しに表面の毛を引っ張っても抜けることがあるから心配だわ。
病気になっていないか、原因が知りたいな。
今回は、こんなお悩みにお答えします。
結論からお話すると、猫の毛を引っ張ると抜ける原因は、皮膚病の可能性もあります。
換毛期でもないのに猫の毛をブラッシングしたり撫でたりすると、束になって抜けることありますよね。
ブラッシングや撫でている間ずっと抜け続けると、「永遠に抜け続けるんじゃないか」と心配になり、病気のことも頭をよぎり不安になるかもしれません。
そこで、猫の専門資格を持つ私が、”猫毛引っ張ると抜ける原因”について、解説します。
猫毛引っ張ると抜ける原因5つ!
猫毛引っ張ると抜ける原因は、以下の5つになります。
- ダブルコートの猫種だから(遺伝的要素)
- 換毛期の現象が起きているため
- 過剰なグルーミングで毛が抜けるため
- 外部からの刺激があるため
- 猫が食物・環境アレルギーを持っているため
5つの原因について、解説します。
ダブルコートの猫種のため(遺伝的要素)
猫にはダブルコートとシングルコートの猫種がいます。
言葉のとおり、ダブルコートはオーバーコートとアンダーコートの2層なので、毛の本数が倍になっているため、抜け毛も多くなりますよね。
実際に飼い主さんが猫の毛を引っ張ると抜けるのではなく、表面についた抜け毛をつまんで取ってるだけなんです!
ダブルコートの代表的な猫種は長毛種だと【ペルシャ】、短毛種だと【アメリカン・ショートヘア】【ロシアンブルー】などだよ。
ちなみに、日本の雑種猫はほとんどダブルコートといわれているんだって!
ちなみに、特定の猫種は遺伝により、猫の抜けやすい毛質の性質を引き継ぐようです。
換毛期の現象が起きているため
換毛期と聞くと「え、猫の換毛期って毎年3月ごろと11月ごろの2回でしょ?」と思う人も多いでしょう。
たしかに、換毛期の時期は毎年春と秋の時期に大量の抜け毛が発生しますが、今回の原因の1つに含めた理由があります。
そもそも換毛期の時期は野生時代、直射日光のあたる長さで時期が決まるといわれていますが、完全室内飼いの猫は直射日光を浴びる時間が少ないですよね。
年中快適な室内ですごすと猫は自分の毛で寒さや暑さをしのぐ必要がなくなるため、換毛期の時期が定まらず、年中プチ換毛期のように抜け毛が発生するんです。
したがって、飼い主さんが猫の毛を引っ張ると抜けるのではなく、猫の体の表面についた抜け毛をただつまんで取っているだけになります。
イエネコ特有の症状ってこと!
過剰な毛づくろいで毛が抜けるため
過剰な毛づくろいをする原因はいくつかありますが、ストレスや体の不調も要因の1つです。
本来毛づくろいをするのは、体を清潔に保つことと緊張した気持ちを落ち着かせるために行います。
同じ場所を長時間毛づくろいするようなら、病気の疑いや危険もあるので注意して観察しましょう。
ストレスについては、こちらの記事でも解説しています‼↓↓
猫が毛づくろいでブヒブヒ言う…念入りにべちゃべちゃする心理はストレス?4つの理由
外部からの刺激があるため
以下のような経験はありませんか?
・毛が絡まってたので、ほぐそうとブラッシングを強めに行った
・首輪をつけたまま過ごしていた
ちょっとしたことで猫の毛は抜けやすくなり、軽く引っ張るだけで抜けてしまいます。
外部から毛に刺激を与えることでやわらかい皮膚にもダメージを受け、抜けやすい状態をつくるのです。
猫は小さな生き物です。
人以上に刺激が大きく影響しますので、注意してくださいね。
ブラッシングで毛を整えるときは、少しずつやさしくブラッシングしましょう。
首輪については、猫が自分で外せない程度で首まわりに少し余裕があるサイズを選ぶことをおすすめします。
猫が食物・環境アレルギーを持っているため
猫も特定の食物に対するアレルギーを持つことがあります。
アレルギー反応のある食物を食べることで皮膚にかゆみや湿疹がでてくると、過剰に猫は皮膚や毛をなめたり噛んだりして、激しめの毛づくろいをします。
過度の毛づくろいは大量の抜け毛を発生させるので、飼い主さんが猫の表面の毛を引っ張ると抜けたように感じるのでしょう。
「うちの猫、アレルギーは大丈夫かな?」と心配な人は、動物病院でアレルギー検査を行ってください。
猫も人と同じようにハウスダストに対するアレルギーを持つことがあります。
ハウスダストアレルギーを持っていない猫でも、室内は常に清潔にしておきましょう。
猫の毛が永遠に抜ける…1日に抜ける毛どのくらい?
部屋のあちこちに猫の毛が落ちていることからも、成猫は約100万本の毛でおおわれているので、抜け毛の量も多いと予想がつきます。
特に換毛期といわれる年に2回ある時期には、通常の10倍の抜け毛があって大変。
人の髪の毛は平均10~15万本といわれており、猫は人と比べて約10倍の毛が生えているから、そりゃ抜け毛も多いよね。
1日に抜ける本数について正確な統計はありませんが、人の髪の毛は1日に50~100本抜けるといわれるので、猫はその10倍の500~1,000本抜けてる計算になりますね。
猫の毛を引っ張ると抜ける/撫でると抜ける…考えられる4つの病気とは
猫の毛を引っ張る/撫でると抜ける病気で考えられることは、以下の4つです。
- ノミアレルギー
- 皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
- 疥癬(かいせん)
- 猫ニキビ
4つの考える病気について、解説します。
ノミ・ダニアレルギー
猫の皮膚や毛にノミ・ダニなどの寄生虫が付着することでアレルギー症状がでることがあります。
強烈なかゆみが症状としてあらわれるので、猫は自分の毛や皮膚を過剰になめたり噛んだりすることで、毛が抜けてしまうんです。
寄生虫が付着したら、急いでノミ・ダニ駆除と皮膚の治療を行ってください。
動物病院で定期的な予防するといいよ。
皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)
皮膚のやわらかい目・口・耳の顔まわりなどに発症する病気で、皮膚にカビの一種である糸状菌が付着し、かゆみや発疹がみられます。
糸状菌は人にも感染する【人獣共通感染症】のひとつであるため、飼い主さんも注意してください。
子猫や高齢猫のような免疫の低い猫や、長毛種に多くみられる症状だよ。
疥癬(かいせん)
ヒゼンダニというダニが猫の皮膚に寄生することで、ひどいかゆみを発症させる病気です。
ほとんどの猫は、耳から顔や頭に感染が広がっていき、顔や耳の根元にかさぶたや脱毛が見られます。
皮膚糸状菌症と同じで、人に感染する【人獣共通感染症】なので、注意が必要です。
猫ニキビ
猫が毛づくろいをするとき、届かなかったり舐めることができない場所は汚れが残りやすいです。
中でも、下あごは汚れを舐めとることができない部位なので、汚れが取り切れないのでしょう。
猫ニキビの初期症状は下あごに黒いポツポツのような汚れができ、放置すると赤く炎症したのち、毛が束になって抜け落ちてしまいます。
猫も違和感を感じて、過剰に下あごをかきむしり出血する可能性も。
猫ニキビの初期症状を発見したら無理にゴシゴシこすらず、ぬるま湯を含ませた清潔なタオルや布で軽くふき取ってあげましょう。
飼い主さんがご自身で判断せず、「あれ、ちょっとおかしいかも」と思ったら、すぐに動物病院を受診してくださいね。
我が家のモカも、下あごにできたため、動物病院へ連れていきました。
初期段階だと、専用フォームで毎日ふき取ってあげる感じです。
猫の毛を引っ張る/撫でると抜けるときの確認ポイント
猫の毛が抜けるとき確認できる症状は、以下の6つです。
- 1日に行う毛づくろいの回数・時間
- 脱毛班の有無
- 皮膚の異常
- 体の動きの異常
- トイレでの排泄時の異常
- 食欲
毛づくろいの回数や時間が普段より多い・長いと感じたら、痒みや違和感を感じている場合があります。
脱毛していなくても、ある部分だけ毛が薄くなってる場合は、皮膚が赤くなっていないか・湿疹やフケが発生していないかなどを確認してください。
いつも元気なのに走り回ったりジャンプしたりしないのは、関節痛かもしれません。
トイレでの排泄時におしっこがでなかったり血が混じっていたりする場合は、内蔵疾患の可能性があり、膀胱に炎症を起こしたと考えられます。
食欲低下についても同様に内蔵疾患の可能性があり、腫瘍の場合もなり危険です。
今回ご紹介した項目以外でも、普段と違うしぐさや行動をした場合、動物病院を受診しましょう。
猫の毛を引っ張る/撫でることで抜けにくくする対処法3つ
猫の毛を引っ張る/撫でることで抜けにくくするための対処法は、以下の3つです。
- 痒そうにしていたらすぐに動物病院を受診する
- 毎日ブラッシングをする
- 毛・皮膚の状態をチェックする
3つの対処法について、解説します。
痒そうにしていたらすぐに動物病院を受診する
早期発見・早期治療することで、症状がひどくなる前に対応すれば回復も早くなるため、一番効果的な対処方法といえます。
過剰な毛づくろいや皮膚を噛むことで出血や脱毛になるまえに、早い段階で受診すると思いがけない病気の発見が…なんてことも。
飼い主さんが猫の表面の毛を清潔にしてもまだ毛づくろいをやめない場合は、すぐに動物病院を受診することをおすすめします。
動物病院を受診するとき、異常行動(過剰な毛づくろいなど)の動画を撮っておいて、獣医に見せると判断がしやすいとのことでした。
猫のしぐさや行動に異変を感じたら、動画撮影の習慣をつけるといいですよ。
ちなみに、以下の内容は受診時に聞かれることが多いので、あらかじめ答えを準備しておくとよいかもしれません。
まずは、体をきれいにして様子をみてください。
わたしが実際に使っているシャンプータオルを紹介しますね。
↓体を拭くだけでシャンプーできる↓
毎日ブラッシングをする
ネット上で「長毛種の場合は毎日、短毛種は週に2~3回で行いましょう」と言われていますが、短毛種でも毎日のブラッシングをおすすめしています。
理由は、短毛種でも結構抜け毛があるからです。
わたしの愛猫も短毛種なんですが、毎日ブラッシングしないと大変なことに!
抜け毛をそのまま猫の体につけたままにすると、毛づくろいをしたときに舐めとってしまって、毛球症になったり体に毛玉ができたりします。
毎日ブラッシングを行って、未然に防ぎましょう。
毛・皮膚の状態をチェックする
普段のスキンシップのとき猫の毛、特に生え際や皮膚の状態をチェックしましょう。
毛にフケや白い卵のようなものがついていたら、寄生虫の可能性があります。
また、皮膚の状態が悪いと赤くなっていたり、湿疹やかさぶたができているかもしれません。
いつも毛と皮膚が健康ですごせるように清潔な状態を保つことをはじめ、栄養のある食事を与えるなど心がけてください。
毛の生え際や皮膚を触ると嫌がる猫は、なにか違和感を感じているのかも。
判断に迷ったときは、獣医に相談しましょう。
まとめ:猫の毛を引っ張ると抜ける…実は表面についた抜け毛を取ってただけだった!
猫の毛を引っ張ると抜ける原因についてご紹介してきました。
いくつか考えられることもありますが、実は猫の体についた抜け毛を取っていただけのことが多いことがわかりました。
しかし、中には病気が炎症を発症している可能性もあります。
実際に毛が抜けたときの確認ポイントをチェックしてみましょう。
また、普段から抜ける毛を減らすための予防対策も大切な健康管理と言えます。
今回ご紹介した内容に1つでも当てはまる項目があれば、早めに対応していきましょう。
コメント