譲渡会で気に入った保護猫がいたら、トライアルに挑戦してみたくなりますよね。
しかし、正式に”うちのこ”になるための里親条件に年収まで報告するなんて…厳しいと不安になっていませんか?
保護猫の里親条件項目が厳しいのか、ゆるいのかについては正直、個人個人の感じ方によって違うと思っています。
結論からお伝えすると、保護猫の里親条件に年収が含まれているのは厳しいというより、猫を想ってのことです。
里親希望者の個人情報まで確認するのはなぜか。
理由は、譲渡会主催者側が、”保護猫の終生が幸せにくらす”ことを願い、その願いを叶えてくれる里親か見極めるため。
この記事では、猫の専門資格をもつわたしが、保護猫の厳しい譲渡条件の内容について解説します。
保護猫の里親条件に年収があるのは本当?
保護猫の里親条件に年収があるのは本当です。
厳しい理由は冒頭でもお伝えしたとおり、『猫が終生、幸せに暮らせるように』するため。
まず、保護猫が存在する理由を考えてみましょう。
ほとんどの保護猫は、飼い主さんと一緒に暮らしていたのに、突然捨てられた元飼い猫なのです。
辛く悲しい思いは二度とさせない‼
このような思いから、”里親となる人はしっかり終生育てられる人なのか”見極めるのです。
保護猫の里親条件は、
- 一般的な保護団体
- 保健所
- 動物愛護センター
などによって異なります。
「え?そんなことまで?」と思えるような内容を条件に入れるところもありましたが、理由を知って納得。
里親詐欺による虐待や遺棄を防ぐため…悲しい理由からでした。
保護猫の里親条件:一般的な項目6つ
保護猫の里親条件は、保護団体・保健所・動物愛護センターなど団体によって多少異なります。
この記事では、保護猫の里親条件で一般的な項目6つについて触れていきます。
- 里親としての責任を全うできるか
- 里親の年収額を確認する
- 主催者側が住居環境を確認訪問
- 譲渡後の定期的な近況報告
- 一人暮らし(住居形態)で不可の場合も
- 年齢制限で不可な場合も
6つの項目について、カンタンに解説します。
①里親としての責任を全うできるか
保護猫の里親条件として、猫の終生お世話する覚悟について、確認します。
里親の責任として、
- 完全室内飼いを徹底する
- 適正時期に去勢避妊手術する
- 猫の最期まで責任をもってお世話する
”猫の命を粗末に扱わず、愛情を持って終生飼育する覚悟のある人”が、一番大事な譲渡条件です。
②里親の年収額を確認する
え?なんで??と思われる人いるかもしれませんが、里親の経済力を確認します。
- 猫を飼う経済力があるか
- 安定した収入があるか
なぜ収入額まで報告義務があるのかについては明確な理由があります。
お迎えした猫が終生、
- 必要な生活用品の中でしっかりご飯を食べられる
- 体調不良になったら病院へ連れて行ってもらえる
主催者側として、猫に幸せな一生を送らせてあげられる里親に迎え入れてほしいと願っていいます。
団体の中には、源泉徴収票や通帳のコピーの提出を譲渡条件に入れたところもあるようです。
源泉徴収票や通帳のコピー提出は、さすがに知ったときビックリしました。
③主催者側が住居環境を確認訪問
譲渡会などで気に入った子をすぐにトライアルで連れ帰ることはできません。
主催者側が後日、里親候補の住居を訪問し、生活環境などを確認します。
- ペット飼育が可能な住居に住んでいるか
- 猫に必要な生活用品が準備されているか
- 脱走防止策はできているか
- 猫にとって危険なモノ・場所はないか
猫がストレスなく幸せに暮らせる環境かどうかも、大事な確認ポイントになっているようです。
また、確認訪問はトライアル契約書に記入した内容(名前・住所等)や身分証明書に虚偽がないか、確認する意味もあります。
④譲渡後の定期的な近況報告
譲渡会の主催者側も、正式にお迎えした里親さんに”譲渡後の定期的な近況報告”をお願いすることが多いようです。
主催者側は、正式譲渡が決まって終わりではなく、譲渡後も猫が幸せに暮らしているか確認します。
団体の中には、「毎日写真をメールで報告する」条件を設けるところも。
里親の新しいおうちで幸せにくらす猫を確認し、やっと安心するのです。
保護猫の譲渡会活動は、ボランティアさんの協力も大きいため、保護猫が1匹でも多く幸せになったことを教えてあげると原動力となります。
「うちの子、こんなに警戒心なくなりました~」など、うれしい報告をしてあげましょう。
⑤一人暮らし(住居形態)で不可の場合も
どんなに保護猫を迎え入れたい里親候補でも、住居形態や年齢で断られる場合があります。
- 一人暮らし
- 結婚していない同棲カップル
基準は、”お迎えした猫を終生お世話できるかどうか”がポイント。
順番に解説しますね。
一人暮らし
一人暮らしで断られる理由は、里親自身になにかあったとき、他に猫のお世話対応できる人がいないからです。
近くに家族や親族が住んでいればOKな場合もありますが…。
また、猫が唯一頼れる里親さんが仕事など外出時間が長くなると、さみしい思いをさせてしまうかもしれません。
結婚していない同棲カップル
若い同棲カップルが譲渡会へきて里親候補に名乗り出た…しかし、断わる団体があるようです。
理由は、カップルが別れたとき、猫の飼育責任のことでもめる件数が多いから。
猫に愛着があり愛情を持って育てていた二人が、別れたときどちらが引き取るかでもめる…なんてことよく聞きます。
しかし、全ての団体が断っているわけではありません。
⑥年齢制限で不可な場合も
6歳以下や60歳以上は”譲渡不可”と、年齢制限が理由で断られる場合があります。
高齢のため断られる1番の理由は、猫の最期までお世話できなくなる可能性が高いことです。
年齢が60歳以上になると考えられる可能性は、
- 体調不良や突然の入院で家を空けるかもしれない
- もしかしたら猫のほうが長生きするかもしれない
- 認知症を発症したことで飼育放棄になるかもしれない
このようなことから、断られることが多いようです。
団体の中には、子猫ではなく成猫なら高齢者でも里親に認めてもらえるところもあるようなので、気に入った猫がいたら相談してみましょう。
また、【6歳以下のお子さん】がいるおうちへの譲渡をお断りする団体もいます。
- 猫の体を叩く
- しっぽをひっぱる
- 必要以上に追いかけまわす
猫にとって、ストレスを感じる行動をとりやすい年齢の子供がいると、主催者側としても苦渋の選択で譲渡をお断りするのでしょう。
里親条件が厳しいけど、メリットもある
里親条件は猫のためとはいえ、厳しいのはたしかです。
しかし、保護猫を譲渡してもらうことで、里親にとってメリットもあります。
一番のメリットは、トライアル期間を設けられることではないでしょうか。
一緒に暮らしてみて、猫との相性を確認することもできますし、猫が環境に合っているかを確認することもできます。
このトライアルは、里親にとっても保護猫にとっても、大事な期間です。
保護猫の里親になるために必要なこと2つ
保護猫の里親になるために必要なことは、以下の2つです。
- 猫を飼うための費用をある程度把握しておく
- 猫を飼える環境を作っておく
2つのことについて、カンタンに解説します。
猫を飼うための費用をある程度把握しておく
譲渡会で保護猫の里親になるとき、譲渡費用として平均3万円ほどが必要になります。
また、消耗品(フードやトイレ砂)や、猫トイレ・猫ベッド・おもちゃ・キャットタワー・ケージ・移動ケージも必要です。
これらを買いそろえるための費用もある程度把握し、主催者との面談時に収入面で問題ないことを伝えられます。
現実的に猫を飼うイメージができるので、把握しておいて損はないでしょう。
猫を飼える環境を作っておく
実際に迎え入れるおうちの生活環境を、前もって整えておきましょう。
家族の中に、保護猫のお迎えを反対する人がいないことも確認します。
必要最低限の猫用品を準備しておくと、正式な譲渡になっても慌てることがありません。
必要最低限の猫用品は、
- お迎え初日からしばらく生活するケージ
- トイレ・トイレ砂
- フード
また、脱走できそうな場所の対策や、生活空間内にある危険物(細いヒモやビニール袋など誤飲のおそれのあるもの)を排除してください。
【保護猫の里親条件がゆるい】審査に落ちた人はこんな方法もある
保護猫の審査に落ちたけど、里親条件が比較的ゆるく猫をお迎えする方法は、以下の4つです。
- 動物病院から里親募集の猫をお迎えする
- 動物愛護センターから里親募集の猫をお迎えする
- 里親募集の掲示板から猫をお迎えする(個人間でのやりとり)
- 保護猫カフェから猫をお迎えする
4つの方法について、カンタンに解説します。
①動物病院から里親募集の猫をお迎えする
動物病院から里親募集している猫をお迎えする方法があります。
初めて猫を飼おうと考えている人は、動物病院に馴染みがないですよね。
地域密着型の動物病院には、捨て猫や飼猫が産んだ子猫が持ち込まれ、里親探しをしているところがあります。
動物病院では管理体制も整っていますし、お世話のプロがいるので、持ち込まれることも多いんだとか。
時間を決めて待合室にケージを設置し、通院する飼い主さんにみてもらい、新しい家族を探しているのです。
一度動物病院の目星をつけたら、ホームページをみてください。
保護猫・地域猫に力を入れているか、表記されていれば里親募集の猫に会える可能性も高いです。
一度、動物病院へ問い合わせしてみるとよいでしょう。
動物病院によって、院内に里親募集のお知らせチラシが貼ってあり、もしかしたら少しだけ条件をゆるくしてもらえるかも⁉(要相談)
②動物愛護センターからで里親募集の猫をお迎えする
動物愛護センターからで里親募集の猫をお迎えする方法があります。
里親になるための条件はありますが、保護猫団体からの譲渡条件よりはゆるい印象を持ちました。
お住まいの地域の動物愛護センターには、迷子になったり事情があって飼うことができなくなった犬や猫が収容されています。
環境省のホームページで猫の情報や、里親になるための流れなども掲載されていますので、ご確認ください。
※譲渡までの流れについては、【地域を選択>注意事項の”猫の譲渡申し込みについて”】で確認できます。
因みに、私の住む名古屋市のページはこんな感じです。
③里親募集の掲示板から猫をお迎えする(個人間でのやりとり)
個人間でのやりとりになりますが、里親募集の掲示板から猫をお迎えする方法があります。
犬・猫のいつでも里親募集中という掲示板サイトがあり、個人がネット上で里親募集しています。
中には保護猫団体からの投稿もありますが、個人で保護された犬・猫の新しい家族を募集しているので、譲渡条件もバラバラ。
里親の条件として、譲渡された犬・猫が終生、やさしい家族と終生幸せにくらすことができることです。
そのほかにも【ペットのお家】というサイトで保護猫の里親募集情報がみられます。
どちらのサイトも、しっかり管理されているので、お気に入りの子をみつけたら里親に応募してみてはいかがですか?
④保護猫カフェから猫をお迎えする
保護猫カフェから、猫をお迎えする方法があります。
保護猫専門の猫カフェだと、里親募集も同時に行っているお店が多いため、実際にふれあいながらご自身と合う猫を探すことができます。
審査がゆるいというわけではありません。
保護猫団体のように国からの支援で成り立つことが多く、国からの調査が入ります。
しかし、カフェではカフェ独自の条件を設定できるため、お迎えしやすいのです。
【番外編】保護猫付シェアハウスに住む
番外編として、保護猫付シェアハウスに住み、猫と生活してみてからお迎えする方法があります。
『猫を飼ってみたいけど、きちんとお世話できるか不安』
『実際に猫のお世話ってどんな感じなんだろう』
飼ってから、想像と違うと捨ててしまう飼い主さんが多い中で、猫との生活を疑似体験できる方法です。
全国展開はまだしていませんが、「ねこシェアハウス229」では、シェアハウスの中で保護猫と生活できるのです。
気に入った保護猫は、退去時に一緒に連れていくことも可能。
『思ってたのと違う』ことにはならず、とてもいいシステムかなと思いました。
また、2010年にはNPO法人東京キャットガーディアンを中心に賃貸住宅に猫がついてくる物件ができたんだとか。
こちらはあまりおすすめと思いませんが、当時は話題となりテレビや雑誌で取り上げられ、反響がすごかったとのことです。
保護猫団体からの譲渡条件が厳しくて、審査に落ちてしまった。
しかし、それでも猫をお迎えしたい人に向けて今回、ご紹介しました。
条件がゆるくなったように感じますが、里親詐欺や猫の虐待事件があった過去から【簡単に猫が手に入る】ことではありません。
里親詐欺や猫の虐待や遺棄(捨てる)は犯罪です。
保護猫団体から譲渡してもらった気持ちで、猫に接してあげてください。
まとめ:保護猫の譲渡条件は過去の過ちを防ぐためだった!
この記事では、【保護猫の里親条件に年収があるのは厳しい?ゆるい?】について解説しました。
保護猫の里親条件が厳しいと、保護猫の数が減らないのではないかと考えがちですが、それより大事なことがあります。
猫が最期まで幸せにくらせるおうちをみつけることを目標にした団体ばかりなので、里親条件もだんだん厳しくなっていったんですね。
猫の命を大切に考え、愛情をもってお世話してくださる里親か、、見極めるためと言われれば…納得できます。
今回ご紹介した里親条件は一般的なものですが、団体によってはさらに細かい条件や逆に多少優遇してくれるところもありました。
譲渡会などで気に入った保護猫をみつけたら、まずは主催者の人へ里親希望であることを伝えましょう。
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